PortalCamは、空間を歩きながら撮影することで、建物・施設・展示空間などを3Dデータとして記録できるハンディ型の3Dスキャナーです。この記事では、PortalCamを初めて使う方向けに、撮影前の準備、実際の撮影手順、きれいに撮るコツ、撮影データを3Dデータへ変換する方法、エクスポートやURL共有の手順までをまとめて解説します。「PortalCamを使ってみたいけれど、何から始めればいいかわからない」「撮影したデータをどうやって3Dデータに変換するのかわからない」「変換したデータを関係者に共有したい」という方は、ぜひ参考にしてください。PortalCamでできることPortalCamを使うと、建物や施設、店舗、展示空間、文化財、観光地などの空間を3Dデータとして記録できます。撮影したデータは、専用ソフト「LCC Studio」で3Dデータに変換できます。変換後のデータは、エクスポートしたり、URLで共有したりすることも可能です。そのため、以下のような用途で活用できます。建物や施設の現況記録不動産や店舗の空間紹介展示会やショールームの3Dアーカイブ設備や現場の記録文化財や観光地のデジタル保存関係者への3Dデータ共有PortalCamは、撮影して終わりではなく、撮影後に3Dデータへ変換し、共有・活用するところまでが一連の流れです。PortalCamの使い方の全体像PortalCamを使う流れは、大きく分けて以下の5ステップです。撮影前の準備をするLCC ScanでPortalCam本体と接続するPortalCamで撮影するLCC Studioで3Dデータに変換する変換したデータをエクスポート・URL共有するそれぞれの手順を順番に解説します。1. 撮影前の準備まずは、PortalCamで撮影を始める前の準備を行います。LCC Scanをインストールする最初に、スマートフォン専用アプリ「LCC Scan」をインストールします。LCC Scanは、PortalCam本体との接続や撮影操作に使用するアプリです。PortalCamを使う際は、事前にスマートフォンへインストールしておきましょう。LCC Scanにログインするアプリをインストールしたら、LCC Scanを起動します。ログイン画面では、「ゲストとしてログイン」からログインします。初めて使う場合でも、ゲストログインを使えば撮影準備を進めることができます。バッテリーを本体に取り付ける次に、PortalCam本体にバッテリーを取り付けます。撮影中にバッテリーが切れてしまうと、撮影を中断することになります。撮影前には、バッテリーが十分に充電されているか確認しておきましょう。必要に応じてスマートフォン取り付けモジュールを装着するスマートフォン取り付けモジュールは、必要に応じてPortalCam本体に取り付けます。必ず取り付ける必要はありませんが、スマートフォンを本体に取り付けておくと、撮影中にLCC Scanの画面を確認しやすくなります。撮影速度や接続状態を見ながら作業したい場合は、取り付けておくと便利です。本体のカバーを外す撮影前に、PortalCam本体のカバーを外します。カバーを付けたままでは正しく撮影できないため、必ず外してから使用してください。電源を入れるPortalCam本体の電源ボタンを約4秒長押しします。本体が緑色に点灯すれば、起動できています。ランプの状態を確認してから、次の接続操作に進みましょう。2. LCC ScanでPortalCam本体と接続するPortalCam本体の準備ができたら、LCC Scanアプリから本体と接続します。LCC Scanの接続ボタンを押すLCC Scanの画面下部にある、真ん中のボタンを押します。その後、接続するデバイスを選択します。Bluetoothで本体と接続する表示されたデバイスの中から、使用するPortalCam本体を選択し、Bluetoothで接続します。接続が完了すると、LCC Scan上でPortalCamの操作ができるようになります。有線接続も可能PortalCam本体とスマートフォンは、Bluetoothだけでなく有線で接続することも可能です。有線で接続する場合は、付属のケーブルでPortalCam本体とスマートフォンをつないでください。Bluetooth接続が不安定な場合や、より安定した接続で撮影したい場合は、有線接続も検討しましょう。3. PortalCamで撮影する手順準備と接続が完了したら、いよいよ撮影を開始します。本体を平らな場所に置く撮影を始める前に、PortalCam本体を平らな場所に置きます。この最初の位置が撮影の始点になります。撮影後は同じ位置に戻って終了するため、どこから撮影を始めたかを覚えておきましょう。録画ボタンを長押しするLCC Scanの赤い録画ボタンを長押しします。録画ボタンを押したら、すぐに本体を持ち上げず、5秒ほど待ちます。撮影できる状態になってから、本体を持って撮影を開始しましょう。本体を持って撮影する撮影が始まったら、PortalCam本体を持って、撮影したい場所を歩きます。このとき、速く歩きすぎないことが大切です。LCC Scanの画面を確認しながら、ゆっくり一定の速度で移動しましょう。撮影が終わったら始点に戻る撮影が終わったら、最初に本体を置いた位置に戻ります。PortalCamで撮影する際は、撮影の始点と終点を合わせることが重要です。また、カメラの向きも最初と最後でできるだけ合わせてください。始点と終点、カメラの向きがずれてしまうと、データのつながりに影響する場合があります。録画停止ボタンを長押しする最初の位置に戻ったら、LCC Scanの赤い録画停止ボタンを長押しします。撮影停止後、データが保存されるまで少し待ちます。すぐに電源を切らず、撮影データが保存されたことを確認してから次の操作に進みましょう。本体の電源を切る撮影が完了したら、本体の電源ボタンを2度押します。このとき、2回目は長押ししてください。これでPortalCam本体の撮影操作は完了です。4. PortalCamできれいに撮影するコツPortalCamは簡単に撮影できる機材ですが、撮影方法を少し工夫するだけで、データの仕上がりが変わります。0.5m/s以下を目安にゆっくり歩く撮影中は、LCC Scanアプリの画面を見ながら、0.5m/s以下を目安にゆっくり歩きましょう。速く歩きすぎると、撮影データが不安定になったり、後から3Dデータにしたときにきれいに再現されにくくなったりします。急がず、一定のスピードで歩くことが大切です。円を描くように歩く撮影したい場所を、円を描くように歩きましょう。対象の周囲を回り込むように撮影することで、さまざまな角度から情報を取得できます。一方向からだけでなく、複数の方向から撮ることで、より立体感のあるデータになりやすくなります。できれば3周撮影する可能であれば、撮影したい場所を3周ほど歩いて撮影しましょう。1周だけでは情報が足りない場合でも、複数回周回することで、より安定したデータを取得しやすくなります。周回ごとに撮影する高さを変える同じ高さで何度も回るだけでなく、周回ごとに撮影する高さを変えると効果的です。たとえば、以下のように高さを変えて撮影します。1周目:低い視点で撮影する2周目:通常の高さで撮影する3周目:高い視点で撮影する高さを変えることで、床に近い部分から高い位置まで情報を取得しやすくなります。文字や絵画などは丁寧に撮影する文字、絵画、看板、展示物など、しっかり見せたいものは特に丁寧に撮影しましょう。細かく撮影したい場所は、対象物になるべく近づいて撮影します。目安として、対象物から50cmほどの距離が最適です。ただし、近づきすぎると全体の位置関係がわかりにくくなるため、全体を撮影したうえで、見せたい部分に近づいて撮るのがおすすめです。扉の出入りや曲がり角はゆっくり歩く扉を通るときや、道を曲がるときは、特にゆっくり丁寧に歩きましょう。急に向きを変えると、撮影データが不安定になることがあります。曲がり角や出入り口では、一度速度を落として、ゆっくり向きを変えるようにしてください。明るい場所・時間に撮影するPortalCamで撮影するときは、できるだけ明るい場所や時間帯を選びましょう。屋外で撮影する場合は、晴れた日に撮影するのがおすすめです。暗い場所や光量が少ない場所では、見た目の情報が不足しやすく、仕上がりに影響する場合があります。室内で撮影する場合も、照明をつけるなどして、できるだけ明るい状態にしておきましょう。高い場所は延長ポールを使う高い場所までしっかり撮影したい場合は、延長ポールを使用しましょう。天井付近、高い壁面、看板、設備などを撮影したい場合、手持ちだけでは十分に情報を取得できないことがあります。延長ポールを使うことで、高い位置からの撮影もしやすくなります。5. 撮影データを3Dデータへ変換する方法撮影が完了したら、次に撮影データを3Dデータへ変換します。3Dデータへの変換には、PC用ソフト「LCC Studio」を使用します。ここでは、PortalCam本体から撮影データをPCにコピーし、LCC Studioで3D再建を開始するまでの流れを説明します。PortalCam本体の電源を入れるまず、PortalCam本体の電源ボタンを長押しして、電源を入れます。撮影データをPCへコピーするため、本体を起動した状態にします。PortalCam本体とPCをケーブルで接続するPortalCam本体とPCを、付属のケーブルで接続します。本体が青色に点灯すれば、PCとの接続ができています。PC側でPortalCam本体のデータを確認できる状態になったら、次の手順に進みます。撮影データをPCにコピーするPortalCam本体内に保存されている撮影データを、PCにコピーします。撮影データは容量が大きくなることがあるため、PC側の空き容量を確認してからコピーしましょう。なお、撮影データをPCにコピーした後は、PortalCam本体の電源を切っても問題ありません。変換作業は、PCにコピーしたデータを使って進めます。LCC Studioを開いてログインするPCでLCC Studioを開き、ログインします。ログイン後、3Dデータへの変換作業を開始します。「今すぐ3D再建」をクリックするLCC Studio上で「今すぐ3D再建」をクリックします。ハードウェアチェックの表示が出るので、内容を確認して「続行」をクリックします。単一モデルを選択し、フォルダ名を入力する設定画面では、単一モデルが選択されていることを確認します。その後、作成するデータのフォルダ名を入力します。後から見返したときにわかりやすいように、撮影場所や日付がわかる名前にしておくと便利です。例:2026_0528_showroomoffice_entrance_testfacility_1f_scan収集データをアップロードする「収集データ」をクリックし、PC上にコピーした撮影データを選択してアップロードします。ここで選択するのは、PortalCamで撮影し、PCにコピーしたデータです。誤って別のフォルダを選択しないように注意しましょう。6. LCC Studioの変換設定撮影データを選択したら、3D再建の設定を行います。設定項目がいくつかありますが、初めて使う場合は、画質とPCスペックのバランスを見ながら設定することが大切です。再構築効率を選択する再構築効率を選択します。基本的には「標準」または「遅い」を選ぶのがおすすめです。「遅い」は変換速度が遅くなりますが、その分、画質がきれいになりやすい設定です。きれいな仕上がりを重視したい場合は、「遅い」を選択するとよいでしょう。最大ガウススプラット数を調整する次に、最大ガウススプラット数を調整します。このとき、推定VRAMが白色になるように調整してください。推定VRAMが高すぎると、PCのGPUメモリに対して負荷が大きくなり、処理が失敗する可能性があります。画質を上げたい場合でも、PCのスペックに合わせて無理のない設定にすることが大切です。プラットフォーム間移植を選択するプラットフォーム間移植の設定を選択します。外部プラットフォームでデータを使用する場合は、オンにしてください。一方で、オフにすると描画クオリティは高くなります。外部ツールや別の環境でデータを利用する予定がある場合はオン、LCC Studio内での見た目を重視する場合はオフ、という考え方で選ぶとわかりやすいです。露出最適化を選択する露出最適化は、オンにすると光によるモヤの発生を軽減できます。明るさの差が大きい場所や、光の影響を受けやすい場所を撮影した場合は、露出最適化をオンにすると仕上がりが改善する場合があります。低メモリ再構築を設定する低メモリ再構築は、推定RAMがPCのメモリをオーバーしている場合にオンにします。基本的には、画面左上の推定RAMが白色または黄色になるように設定してください。推定RAMが赤色の場合、処理が失敗してしまう可能性があります。PCのメモリに余裕がない場合は、低メモリ再構築をオンにして、処理が通りやすい設定にしましょう。Revitと連携したい場合は区間認識にチェックを入れるRevitと連携したい場合は、「区間認識」にチェックを入れます。建築・BIM関連のワークフローで活用したい場合は、この設定を確認しておきましょう。HDエンハンスメントを設定する「HDエンハンスメント」は、一眼レフカメラやスマートフォンなどで撮影した写真を使って補正をしたい場合にチェックを入れます。追加の写真を使って見た目を補正したい場合に使用する設定です。通常のPortalCam撮影データだけで変換する場合は、必要に応じて設定してください。設定が完了したら開始するすべての設定が完了したら、「開始」をクリックします。その後、データが構築されるまで待ちます。撮影範囲や設定内容、PCスペックによって処理時間は変わります。処理中はPCに負荷がかかるため、他の重い作業は避けるのがおすすめです。7. 変換した3Dデータをエクスポートする方法3Dデータへの変換が完了したら、必要に応じてデータをエクスポートできます。エクスポートしておくことで、他のソフトで利用したり、関係者へデータを受け渡したりしやすくなります。変換後データの矢印マークをクリックするLCC Studio上で、変換が完了したデータを確認します。変換後のデータの右下にある矢印マークをクリックします。保存先となる空のフォルダを選択する次に、エクスポート先となる空のフォルダを選択します。既存のファイルが入っているフォルダではなく、エクスポート用に新しく作成した空のフォルダを使うと管理しやすくなります。出力するデータフォーマットを選ぶ出力するデータフォーマットを選択します。必要に応じて、メッシュ付きデータにするかどうかも設定します。メッシュ付きデータとして選択できる形式は、.objと.plyです。用途に応じて、適切な形式を選択しましょう。エクスポートを実行する出力形式と保存先を確認したら、エクスポートを実行します。エクスポート完了後、指定したフォルダにデータが保存されます。8. 変換した3DデータをURLで共有する方法LCC Studioでは、変換したデータをURLで共有することもできます。URL化しておくと、関係者にリンクを送るだけでビューワーを確認してもらえるため、データ確認や受け渡しがスムーズになります。リンクの項目を設定する「リンク」の項目で、「カスタマイズ」または「ランダム」を選択します。URLを任意の文字列に変更したい場合は、「カスタマイズ」を選びます。特に変更が不要な場合は、「ランダム」を選択してください。社内共有や案件ごとの管理をしやすくしたい場合は、カスタマイズを使って、案件名や日付がわかるURLにしておくと便利です。チェックボックスにチェックを入れてリリースする設定が完了したら、一番下のチェックボックスにチェックを入れ、「リリース」をクリックします。リリースを行うことで、共有用URLを発行できる状態になります。リンクマークから共有URLを確認するアップロードが完了すると、画面右下にリンクマークが表示されます。そのリンクマークをクリックすると、共有用のURLを確認できます。共有用URLをコピーして開く共有用のリンクをコピーして、Webブラウザで開きます。リンク先からビューワーを閲覧できれば、URL共有の準備は完了です。関係者にURLを送ることで、ソフトを持っていない相手にも3Dデータを確認してもらいやすくなります。9. 3Dデータ変換時によくある注意点PortalCamの撮影データを3Dデータへ変換する際は、いくつか注意したいポイントがあります。PCの空き容量を確認する撮影データや変換後のデータは容量が大きくなる場合があります。データをコピーする前、LCC Studioで変換を始める前、エクスポートする前に、PCの空き容量を確認しておきましょう。推定VRAMと推定RAMを確認するLCC Studioの設定では、推定VRAMと推定RAMの表示を確認しながら調整します。推定VRAMは白色になるように、推定RAMは白色または黄色になるように設定してください。赤色の場合、処理が失敗する可能性があるため、設定を見直しましょう。画質と処理時間のバランスを見る高画質な設定にすると、処理時間が長くなったり、PCへの負荷が大きくなったりします。まずは標準設定で変換し、必要に応じて「遅い」設定やHDエンハンスメントなどを試すとよいでしょう。データ名はわかりやすく付ける複数の現場やテスト撮影を行う場合、データ名がわかりにくいと後から管理しづらくなります。日付、場所、案件名、撮影エリアなどを含めておくと、後から探しやすくなります。10. よくある質問PortalCamで撮影した後、何をすればよいですか?撮影後は、PortalCam本体とPCを付属ケーブルで接続し、撮影データをPCへコピーします。その後、LCC Studioで撮影データを読み込み、3D再建を行います。PCにデータをコピーした後、PortalCam本体の電源を切ってもいいですか?はい。PCに撮影データをコピーした後は、PortalCam本体の電源を切っても問題ありません。3D変換作業は、PCにコピーしたデータを使って行います。再構築効率はどれを選べばよいですか?基本的には「標準」または「遅い」がおすすめです。「遅い」は変換速度が遅くなりますが、画質がきれいになりやすい設定です。推定VRAMが赤色になった場合はどうすればよいですか?最大ガウススプラット数などの設定を調整し、推定VRAMが白色になるようにしてください。PCのGPUメモリに対して負荷が大きすぎると、処理が失敗する可能性があります。推定RAMが赤色になった場合はどうすればよいですか?推定RAMが赤色の場合、変換に失敗する可能性があります。設定を見直すか、低メモリ再構築をオンにして、推定RAMが白色または黄色になるように調整してください。外部プラットフォームで使う場合はどの設定が必要ですか?外部プラットフォームで使用する場合は、プラットフォーム間移植をオンにしてください。ただし、オフにした場合のほうが描画クオリティは高くなります。変換したデータはURLで共有できますか?はい。LCC Studio上でリリースを行うことで、共有用URLを発行できます。発行されたURLをコピーして送ることで、関係者にビューワーを共有できます。まとめPortalCamの使い方は、撮影前の準備から3Dデータへの変換、URL共有までを一連の流れで理解しておくことが大切です。基本的な流れは以下の通りです。LCC ScanをインストールするPortalCam本体にバッテリーを取り付ける本体カバーを外して電源を入れるLCC ScanでPortalCam本体と接続する平らな場所に本体を置いて撮影を開始する0.5m/s以下を目安にゆっくり歩いて撮影する撮影の始点と終点、カメラの向きを合わせて撮影を終了するPortalCam本体とPCをケーブルで接続する撮影データをPCにコピーするLCC Studioで3D再建を行う必要に応じてエクスポートやURL共有を行うきれいな3Dデータを作るためには、撮影時にゆっくり歩くこと、複数の角度や高さから撮ること、明るい環境で撮影することが重要です。また、LCC Studioで変換する際は、推定VRAMや推定RAMを確認しながら、PCスペックに合った設定にすることが大切です。撮影から変換、共有までの流れを押さえておくことで、PortalCamをよりスムーズに活用できます。アクティブリテックでは、PortalCamの導入相談、レンタル、撮影代行、3Dデータ活用のご相談にも対応しています。「自社の現場でPortalCamを試してみたい」「撮影から3Dデータ化までサポートしてほしい」「作成した3DデータをWebや業務システムで活用したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。